福祉情報を発信中

トモシル ー共に知ろう、福祉のリアルをー

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 転職活動に関する記事
  4. 自己理解とは?障害者雇用で長く働くために本当に大切なことを支援経験から解説【2026年度版】

自己理解とは?障害者雇用で長く働くために本当に大切なことを支援経験から解説【2026年度版】






自己理解にゴールはない|一人の利用者との出会いから考える、就職支援のリアル


現場の記録

自己理解にゴールはない|一人の利用者との出会いから考える、就職支援のリアル

本記事はPRを含みます

「支援者として、就職が決まったとき、本当は少し不安でした。」

就労支援の仕事をしていると、利用者さんの就職が決まる瞬間に立ち会うことが何度もあります。本人やご家族が喜ぶ姿を見るたびに、私たち支援者もうれしくなります。

しかし、その一方で、「きっと大丈夫」と言い切れないこともあります。これまでの面談や職場評価、心理検査などから、「就職後に課題が出るかもしれない。」そう感じることがあるからです。

もちろん、支援者の予測が外れることもあります。だからこそ、就職を止めることはありません。むしろ、「困ったらいつでも相談してください。」「就職後も一緒に考えていきましょう。」そんな気持ちで送り出しています。

今回ご紹介するのは、私が今でも自己理解の大切さを考えるたびに思い出す利用者さんのお話です。

この方との出会い

この方が発達障害と診断されたのは、大学4年生の1月でした。就職活動が思うように進まず、大学4年生の後期になっても、ほとんど活動できていませんでした。

大学のキャリアセンターでは、「就職活動が進まないのは、うつ病など精神的な不調があるのではないか。」と考え、医療機関への受診を勧めました。そこで初めて分かったのが、発達障害でした。

本人にとっても、お母様にとっても予想外の診断だったそうです。その後、お母様と一緒に地域障害者職業センターへ相談に来られました。

なぜ誰も気づかなかったのか

理由はとてもシンプルでした。学生時代、この方は決して孤立していませんでした。アルバイト先にも友人がいました。部活動も友人に誘われて始めました。サークルにも友人がいました。

周囲に人がいて、自然と手を引いてくれる環境だったのです。だから大きな問題として表面化しませんでした。

アセスメントをすると、違う姿が見えてきました

心理検査では、受動的な傾向がみられました。また、これは私自身の行動観察による印象ですが、年齢の割には、「察して動くこと」が少し苦手な印象がありました。

「これをお願いします。」だけでは動き出せません。
「今からこれを始めてください。」と具体的に伝えることで初めて動き始めます。

私はその様子を見ながら、社会人になった後、自分で仕事を見つけたり、優先順位を考えたり、相談したりする場面で苦労するかもしれないと感じていました。

内定、そして迷い

その後、この方は内定を得ました。喜ばしいことでした。しかし私の中には、小さな迷いがありました。

自分のアセスメントが間違っている可能性もある。

そう思う気持ちもありました。人の可能性を、検査や数回の観察だけで決めつけてよいはずがありません。だからこそ、就職を止めることはしませんでした。

困ったら連絡してください。でも、受動的な方だから、こちらからも連絡しようと思っていた。

そんな気持ちで、送り出しました。

研修中は、問題ありませんでした

研修期間中は、決められたカリキュラムに沿って、指導担当がそばについて具体的に指示を出してくれる環境でした。この方にとって、それはとても力を発揮しやすい状況だったのだと思います。何の問題もなく、研修を終えました。

しかし、研修が終わり、現場に配属されてしばらく経った頃、お母様から連絡が入りました。

詳しい状況までは分かりませんでしたが、現場では、研修時のように「今からこれをしてください」と逐一伝えてくれる人がいなくなっていたのだと思います。自分で仕事を見つけ、優先順位をつけ、必要なら自分から相談する。そうした場面が増えていったのではないかと想像します。

そして、試用期間の終わりに、正社員登用は見送られることになりました。

では、自己理解とは何だったのでしょうか

この方に足りなかったのは、能力ではなかったと思います。学生時代、友人たちに囲まれ、自然に手を引いてもらえる環境で過ごしてきたからこそ、「自分がどんな場面で助けを必要とするのか」を、本人自身がまだ知らなかったのだと思います。

周りが気づいて動いてくれる環境と、自分から気づいて動く必要がある環境。この二つは、同じ「働く」でも、必要な力がまったく違います。

もし就職前に、この方自身が「自分は具体的な指示があれば力を発揮できる」「曖昧な指示だと動きにくい」という自分の特徴に気づき、それを企業に伝えられていたら、状況は違っていたかもしれません。

自己理解にゴールはありません。

この利用者さんが、その後どうなったのか。私は知りません。北海道へ異動になり、担当も変わりました。だから、この物語の結末を書くことはできません。

でも、一つだけ確かなことがあります。もし就職前に、「どんな環境なら力を発揮できるのか」をもっと一緒に整理できていたら、違う未来があったかもしれない。もちろん、それも分かりません。

だから私は今でも、就職支援をするときには、「就職できるか。」ではなく、「長く働き続けられるか。」を一緒に考えるようにしています。私にとって自己理解とは、就職活動のためではなく、自分らしく働き続けるために続けていくものなのです。
求人紹介や配慮事項の伝え方を相談したい方へ

障害者雇用に詳しい担当者へ、無料で相談できます。

dodaチャレンジ


  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

月を選択