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ナビゲーションブックとは?書き方や作るメリットを現場経験者が解説






ナビゲーションブックとは?書き方や作るメリットを現場経験者が解説


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ナビゲーションブックとは?書き方や作るメリットを現場経験者が解説

本記事はPRを含みます

「ナビゲーションブック」という言葉を聞いたことがありますか?障害者雇用で就職活動をしていると、「ナビゲーションブックを作ってみましょう。」と言われることがあります。

一方で、「ナビゲーションブックって何?」「履歴書や職務経歴書とは何が違うの?」「本当に必要なの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

実は、ナビゲーションブックは障害者職業センターなどでは広く活用されていますが、就職活動を始めたばかりの方にとっては、まだあまり知られていない資料です。

私は障害者就労支援の現場で、多くのナビゲーションブック作成を支援してきました。その経験から感じるのは、良いナビゲーションブックは、自分を良く見せるための資料ではないということです。

等身大の自分を企業へ正しく伝え、安心して働き続けるための資料だと考えています。

この記事では、ナビゲーションブックとは何か、作るメリット、良いナビゲーションブックの特徴、現場で実際にあった成功事例・失敗事例を交えながら、現場経験をもとに解説します。

定義ナビゲーションブックとは?

ナビゲーションブックとは、障害特性や得意・不得意、必要な配慮を企業へ分かりやすく伝えるための資料です。

履歴書や職務経歴書が「これまでの経験」を伝える資料だとすれば、ナビゲーションブックは「安心して一緒に働くための説明書」と言えるでしょう。

  • 得意なこと
  • 苦手なこと
  • 苦手な場面
  • 必要な配慮
  • 配慮があればできること
  • 体調管理の方法
  • 困った時の相談方法

などを整理して記載します。企業はこの内容を参考に、仕事の教え方や指示方法、配慮の方法を考えていきます。

ナビゲーションブックは誰が作るの?

地域障害者職業センター就労移行支援事業所などで作成を支援してもらえることがあります。もちろん、自分一人で作ることもできます。

ただ、私自身の経験では、支援者と一緒に作成した方が、より実態に近い内容になりやすいと感じています。本人が気付いていない得意・不得意や、企業側が知りたい情報を整理してもらえるためです。また、支援者が入ることで、企業へ説明するときにも共通認識を持ちやすくなります。

今回紹介する3つの事例について

この記事で紹介する3つの事例は、いずれも地域障害者職業センターの職業準備支援を利用した方の事例です。

1

複数の作業体験
2

支援者による行動観察
3

本人との振り返り面談

職業準備支援では、おおむね6か月程度かけて、これらを繰り返しながら、「どのような仕事なら力を発揮できるのか」「どのような配慮が必要なのか」を一緒に整理していきます。その結果をまとめたものが、ナビゲーションブックです。

今回紹介する3つの事例は、そのナビゲーションブックを作成したうえで就職活動を行った実例です。

メリットナビゲーションブックを作る3つのメリット

1

必要な配慮を具体的に伝えられる

企業へ「コミュニケーションが苦手なので配慮してください。」と伝えても、企業は具体的に何をすればよいか分かりません。

✕ 悪い例コミュニケーションが苦手なので配慮してください。 〇 良い例忙しそうに見える相手には、自分から質問することをためらってしまうことがあります。そのため、午前と午後に1回ずつ質問できる時間を作っていただけると助かります。

ナビゲーションブックでは、「苦手です」だけではなく、どのような場面で困り、どのような配慮があると力を発揮できるのかまで具体的に整理することが大切です。

2

自己理解が深まる

ナビゲーションブックは、企業へ提出するためだけの資料ではありません。作成する過程で、自分は何が得意なのか、どんな場面で困りやすいのか、どんな配慮があると力を発揮できるのかを整理できます。就職後も長く働くためには、この自己理解が非常に重要になります。

3

支援者・企業・本人が同じ方向を向きやすくなる

ナビゲーションブックがあることで、本人・支援者・企業が同じ資料を見ながら話し合えます。その結果、「そんなつもりではなかった」「思っていた仕事と違った」という認識のズレを減らしやすくなります。

事例①ナビゲーションブックが就職につながった事例

Case|発達障害(自閉スペクトラム症・ADHD)

国公立大学を卒業後、一般企業へ就職しました。しかし、仕事を始めて数年後、うつ状態となり退職しました。

当初は「仕事ができない」と考えていましたが、職業準備支援を利用しながら詳しく振り返ると、本当の原因は別のところにありました。

研修期間中は、先輩社員が顧客との打ち合わせを担当し、本人は設計や資料作成を行っていたため、大きな問題なく仕事ができていました。しかし研修終了後は、自分で顧客と打ち合わせを行い、相手が求めている内容を理解しながら仕事を進める必要がありました。「相手が何を求めているのか」「曖昧な指示をどう解釈すればよいのか」が分からず、仕事がうまく進まなくなり、毎日深夜まで残業が続き、精神的にも追い込まれて退職することになりました。

心理検査と作業体験から見えてきたこと

職業準備支援では、心理検査だけではなく、複数の作業体験や支援者との振り返りを繰り返しました。すると、本人は決められた作業を正確に行う力は高い一方、抽象的な指示や、相手の考えを推測しながら仕事を進めることが苦手であることが分かりました。

「仕事ができない」のではなく、力を発揮しやすい環境と、そうでない環境があった、ということです。

ナビゲーションブックには「根拠」まで書かれていた

完成したナビゲーションブックには、苦手なことだけではなく、どのような配慮があれば仕事ができるのかが具体的に書かれていました。

伝わりにくい指示分かりやすい資料を作ってください。 伝わりやすい指示お客様が一番知りたいのは〇〇です。そのため〇〇を優先し、この順番で資料を作成してください。

さらに、その配慮が必要な理由についても、心理検査の結果から「抽象的な内容を整理することに苦手さがある」という根拠を添えて説明していました。同じように、見通しが立たない状況・急な予定変更・話しかけるタイミング・コミュニケーションの取り方についても、苦手なことだけではなく、なぜその配慮が必要なのかまで整理されていました。

企業はナビゲーションブックをどう活用したのか

就職活動の結果、その方は銀行の総合職として内定を獲得しました。面接の際に、人事担当者へナビゲーションブックを提出しました。

その後、試用期間が始まる前に、企業の人事担当者から私(支援者)へ連絡があり、ナビゲーションブックについて何点か質問を受けました。私は、本人の特性や配慮事項について詳しく説明しました。すると、人事担当者は、その内容を現場の所属長へ共有し、仕事の教え方や指示の出し方まで事前に調整してくれたそうです。私は現場の所属長とは一度も話していません。

試用期間後、人事担当者から「ナビゲーションブックに書かれていた通りに配慮したところ、問題なく仕事ができました。」という連絡をいただきました。その方は、試用期間を無事に終え、銀行の総合職として採用されました。

さらに、定着支援のために予定していた1か月後の面談も、本人から「働きやすく、職場でも認めてもらえているので大丈夫です。」という話があり、実施しませんでした。

私はこの事例から、良いナビゲーションブックは、企業へ配慮をお願いするためだけの資料ではなく、企業が安心して配慮を実践できる資料でもあると感じています。

事例②伝え方ひとつで結果が変わってしまった事例

Case|発達障害(自閉スペクトラム症・ADHD)

発達障害のある方が、食品工場の現場作業へ応募したときのことです。この方も、職業準備支援で約2か月間作業体験を行いました。毎日繰り返し行う作業であれば、大きな問題なく取り組めることを支援者全員が確認していました。実習前の企業見学でも、仕事内容との相性は良く、支援者としては十分就職できると考えていました。

ところが、企業へ提出したナビゲーションブックの一文で、状況が変わってしまいます。

実際に書かれていた表現不注意の影響で急に寝てしまうことがあります。 本人が本当に伝えたかったこと不注意の影響で眠気を感じることがある(という程度のニュアンス)

しかし、実際には職業準備支援で約2か月間作業をしていて、そのような様子は一度もありませんでした。応募先はカット野菜工場で、自動で動く刃物を扱う工程もありました。企業は、「作業中に急に倒れてしまう可能性があるのではないか。」と受け止めてしまい、結果として実習には進めず、不採用となりました。

支援者としては、仕事内容や本人の作業能力を見て、十分に働けると判断していただけに、とてももったいない事例でした。もちろん、企業の判断を責めることはできません。企業は、従業員全員の安全を守る責任があります。

だからこそ、ナビゲーションブックでは、事実を正しく伝えることに加え、相手がどのように受け取るかまで考えることが重要だと感じました。

誤解を招きやすい表現不注意の影響で急に寝てしまうことがあります。 誤解を防ぐ表現不注意の影響で眠気を感じることがありますが、作業ができなくなったり意識を失ったりしたことはありません。

という表現であれば、企業の受け取り方も変わっていたかもしれません。

事例③等身大でないナビゲーションブックは逆効果になることもある

Case|知的障害

過去に介護職として勤務した経験があるこの方は、「介護補助の仕事なら問題なくできる。」と考えていました。ちょうどその頃、障害者雇用で、介護補助(シーツ交換・清掃・日用品の補充など、介護職員が介護業務へ集中できるように支える仕事)の求人が出ており、支援者としても職歴を考えると相性は悪くないと思い、応募することになりました。

しかし、職業準備支援で実際に作業を観察すると、現実は少し違いました。シーツ交換では、一枚交換するだけで40分以上かかることもあり、指示の理解・覚えられる量・作業の順序にも配慮が必要だと感じていました。

支援者としては、一度に教える量を少なくすること、実際に手本を見せながら説明すること、作業量を調整することなどが必要だと考えていました。しかし、本人の自己認識は「動きが少し遅くなっただけ。」でした。

そのため、ナビゲーションブックにも、動作がゆっくりなことや、てんかんについては書かれていましたが、指示理解や記憶面で必要な配慮については、ほとんど記載されませんでした。さらに、本人は企業へ「介護業務もできます。」と伝えていました。

企業としては、介護経験があると聞けば当然期待します。しかし、実習が始まると、企業が期待していた内容と、実際の様子には大きな差があり、結果として採用には至りませんでした。

私は、この事例で「ナビゲーションブックの書き方だけが原因だった。」とは思っていません。しかし、本人が考えていた自分と、実際の自分との間にズレがあったこと。そして、そのズレが企業にも伝わってしまったこと。これは大きな要因だったと思います。

結論私が考える「良いナビゲーションブック」とは

現場で多くのナビゲーションブックを見てきました。その中で、良いナビゲーションブックには、一つだけ共通点がありました。

それは、本人が納得していること。「支援者が作った資料」ではありません。「本人自身が、自分のことを理解し、納得している資料」なのです。
現場での取り組み方

そのために、私たちは実際の職場を想定した場面を意図的に作ることがありました。例えば、ある日は「事務作業を全部終わらせておいてください。」とだけ伝えます。別の日には、「請求書5枚を確認し、○時までに終わらせてください。」というように、具体的に指示を出します。

すると、同じ人でも、環境が変わるだけで、仕事ができる日と、うまくいかない日が出てきます。その結果を、一緒に振り返ります。「今日はなぜできたのか。」「今日はなぜ難しかったのか。」

これを3回、4回、5回と繰り返していくと、多くの方は、少しずつ自分自身の特徴に気付いていきます。「もっとできるはず。」ではなく、「こういう環境なら私は力を発揮できる。」ということが分かってくるのです。

私は、この本人の納得感こそが、良いナビゲーションブックの土台だと思っています。ナビゲーションブックは、書類を完成させることが目的ではありません。自己理解を深めた結果として完成するものなのです。

相談一人で作るのが難しいと感じたら

ナビゲーションブックは、「自分を良く見せる資料」ではありません。等身大の自分を整理し、企業へ正しく伝える資料です。

しかし、自分一人で「何が得意なのか」「どのような配慮が必要なのか」を客観的に整理することは簡単ではありません。実際、私が支援してきた方の多くも、支援者と一緒に振り返ることで初めて、「この環境なら力を発揮できる」「この場面では配慮が必要だった」ということに気付いていきました。

就職活動を急がない方へ

もし、次のように感じている場合は、就労移行支援や地域障害者職業センターなどの支援機関を利用し、自己理解を深めてから就職活動を始めることをおすすめします。

  • 自己理解にまだ自信がない
  • 自分に合う仕事が分からない
  • 配慮事項をどう伝えればよいか悩んでいる
  • すぐに就職活動を始めることに不安がある

焦って就職するよりも、自分に合った働き方を整理してから活動した方が、結果として長く働けることも少なくありません。

すぐに就職活動を始めたい方へ

一方で、「ある程度自己理解はできている」「早めに転職活動を進めたい」という方は、障害者雇用に詳しい転職エージェントへ相談しながら就職活動を進める方法もあります。応募書類の添削や面接対策だけでなく、配慮事項の伝え方について相談できる場合もあります。

配慮事項の伝え方も一緒に相談したい方へ

障害者雇用の求人紹介から、配慮事項の伝え方まで無料で相談できます。

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まとめ|ナビゲーションブックは「納得」があってこそ機能する

ナビゲーションブックは、自分を良く見せるための資料ではなく、等身大の自分を企業へ正しく伝え、安心して働き続けるための資料です。書き方の工夫だけでなく、本人がその内容に納得していることが、何より大切な土台になります。

一人で整理することが難しいと感じたら、就労移行支援や地域障害者職業センター、あるいは障害者雇用に詳しい転職エージェントへ相談しながら、少しずつ自分の特徴を整理していくことをおすすめします。


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